IT資産管理のポイント
第4回 IT資産管理とソフトウェア資産管理(SAM)
IT資産管理関連のキーワードの中でも、最近特に注目を集めているのが、ソフトウェア資産管理(SAM)です。特に、BSA(ビジネス ソフトウェア アライアンス)では、自治体、公共機関、学校等のパブリックセクターを対象にしたSAM構築体制の整備を急ピッチで進めています。アエルプランニングでも、BSA内のSAMパートナとして、「PSAM2009 SAM総合支援サービス」を提供しています。
その背景には、昨今の社会におけるコンプライアンス重視の風潮の中、パブリックセクターにおける情報化の進展とともに、ソフトウェア資産を適切かつ効率的に管理することが課題となっていることがあります。
さまざまな組織のSAM構築を進めていくうちに、いつも感じる問題点は以下の3点です。
- ソフトウェアのライセンスの理解が十分なされていない。
- 調達主義となっていて、導入の基準が価格評価となっている。
- ソフトウェア資産の管理という観点が不足している。
SAMは、導入するだけでは意味がなく導入した仕組みを日常業務の中で運用し、実際にソフトウェア資産を管理しなくては意味がありません。にもかかわらず、多くの企業やパブリックセクターでは、導入することだけに多くのエネルギーが割かれてしまい、運用(ユーザサポート)はおぼつかず、管理にいたってはどのようにすべきかすらわからないケースが少なくありません。また、ソフトウェア管理ができているというのは、管理ツールが入っていさえすれば良いという間違った解釈をしている組織も、依然として多いのが現状です。
管理=ツールではなく、「ツールを使って何を証明するか」が重要
特によくあるのが、「ソフトウェア資産の管理ができている」と回答された方によくよく聞いてみると、管理ツールを導入して毎日インベントリを収集しただけで、管理ができていると思い込んでいるケースです。
本当に「管理ができている」というためには、資産の保有状況と使用状況を把握しなくては意味がありません。ツールはあくまでも管理のための道具なのです。にもかかわらず、「何の目的で使うか」を明確に理解されないまま導入されているケースは、あまりにも多いのです。
どうしてそのようなことが起こってしまうのでしょうか。資産管理ツールは、組織内のIT資産、ソフトウェア資産の証明をするために使われるべきですが、導入時にはどうしても「どんなデータが取れるのか」という機能優先で選定されてしまいがちです。結果、十分な証明ができないということが起こるのかもしれません。
また、ソフトウェア資産の証明には、ライセンスの理解が必須であり、管理の対象や管理項目を明確にする必要があります。しかし、理解が不足しているためこうした設計をきちんとせずにツールだけが導入されているケースは決して珍しくありません。その結果、コンサルタントがツール導入後に運用を設計するといった笑い話も起こるのです。
管理の方針の一つにLCM
IT資産管理で、もう一つ注目されているのが、「ライフサイクルマネジメント(LCM)です。IT資産には、ハードウェア資産も、ソフトウェア資産にも、有限の寿命があります。IT資産の導入から廃棄までのサイクルを意識することでTCOを削減していくのが、LCMの考え方です。
IT資産のライフサイクルマネジメント

IT高度成長期は、PCやソフトウェアの性能・機能の進歩が著しく、事実上ハードウェアもソフトウェアも導入から廃棄まで1世代限り短期間で入れ替えられていました。そのため、ハードウェアにソフトウェアがあらかじめインストールされたプレインストールパソコン(PIPC)を導入し、費用が安く管理が楽だと考えている組織も多かったのが実情です。
しかし、PIPCのライセンスを正しく管理しようと思うと、驚くほど手間がかかります。例えば、プレインストールソフトの媒体は、PCと1つ1つひも付けて管理しなくてはいけません。PIPCほど管理が大変なライセンス契約はないのです。
しかしIT成熟期に入った現在、経験をつんだ組織の多くは、ソフトウェアライセンスの特徴やIT資産のライフサイクルを理解し、どうやれば効率的に管理できるかというLCMの視点を持ち始めています。
いよいよパソコンOSのメジャーバージョンアップであるWindows 7が発売され、最近では、クラウドコンピューティングがもてはやされ、IT資産は保有から利用へ、といった議論も活発になっています。組織の中で、標準化について再度見直し、ライフサイクル管理を見直すには、いい機会であるといえるでしょう。