弁護士 金井高志の「もう一度チェック! あなたの個人情報保護法理解度」

第1回 あなたの会社は「個人情報取扱事業者」か?

個人情報取扱事業者とは?

現在5000件の個人情報をもっていなくても、過去半年のうち一日でも個人情報の合計が5000を超えたら、あなたの会社は『個人情報取扱業者』になります。
個人情報保護法は、2003年5月30日に公布され即日一部施行されましたが、個人情報取扱事業者の義務等に関する規定については、法で要求される体制を整えるための準備期間が必要であったことから2005年4月1日から施行されました。
個人情報保護法の適用がなされる「個人情報取扱事業者」とは、国の機関、地方公共団体および独立行政法人等を除く、「個人情報データベース等」(目次、索引などにより容易に検索できる紙媒体によるものも含み、コンピュータでデータベース化されているものに限りません)を事業の用に供している者をいいます。
そして、事業者が取り扱う情報について特定の個人の数の合計が過去6月以内のいずれかの日において5,000を超える場合、個人情報取扱事業者に該当することになります。
個人情報取扱事業者とは?

5000の個人情報はすぐに集まる!

どれだけ『他人に知られたくない情報なのか?』という度合いによって、個人情報を分類する方法があります。
自社が個人情報取扱事業者であるか否かを判断する場合、保有する個人情報の数が5000を超えるかという点が判断のポイントとされています。
そこで、「うちはお客さんが5000もないから関係ない。」とおっしゃる会社の方が多いものです。
しかし、本当にそうでしょうか。
例えば、営業担当者が10人もいれば、5000枚程度の名刺はすぐに集まってしまうのではないでしょうか。
それらは個人情報で、50音順、アルファベット順、住所別などに並べられて体系的になっており、社内で利用できるようであれば、「個人情報データベース等」に該当します。
また、アルバイトやパートを含めた社員や元社員およびその家族に関する情報や、履歴書などのいわゆるリクルート情報も個人情報です。
さらに、個人情報が記載されたFAX用紙やアンケート用紙、キャンペーン等の応募用紙など、企業が保有する個人情報の種類は実に多岐にわたっています。
これらの個人情報は、コンピュータ処理されていなくても、容易に検索できるように体系的に構成されていれば、「個人情報データベース等」に該当してしまうのです。
従って、「お客さん以外の個人情報はないか。」というような観点から自社が保有する個人情報を洗い出して見ることが必要であると思われます。
5000の個人情報はすぐに集まる!

個人情報取扱事業者でなければ個人情報保護法は関係ない?

宣伝・営業行為を行う上で必要な情報、すなわち『高い価格で売買される情報』や、財産的な被害が生じる犯罪やストーカー犯罪などに利用されうる情報などが狙われやすい情報といえます。
ところで、個人情報取扱事業者に該当しない場合、「うちは関係ない。」と言ってしまってもよいのでしょうか。
確かに、個人情報保護法の適用がない以上、行政上の処分や罰則の適用を受けることはないでしょう。
しかし、個人情報取扱事業者であるか否かに関わらず、個人情報の不適切な取扱いによって個人に損害が生じた場合には、プライバシー侵害を理由とする損害賠償義務などの民事上の責任は当然生じますし、企業としての社会的責任も問われることになります。
このように見ていきますと、個人情報取扱事業者であるか否かということは、単に行政上の処分を受けるか否かというだけで、実はあまり大きな意味を有していません。
たとえわずかであっても個人情報を事業の用に供しているのであれば、個人情報保護法に則って個人情報を取り扱うことが必要とされるのではないでしょうか。
個人情報取扱事業者でなければ個人情報保護法は関係ない?

個人情報保護法に則った個人情報の扱いは企業価値を高める!

個人情報の漏洩は、情報を漏洩された個人が犯罪に巻き込まれ、被害者となるようなことに至る危険を孕んでいます。
そもそも個人情報保護法は、高度情報化社会における情報の有用性に配慮しつつ、個人情報が濫用されたり悪用されたりすることによって個人の権利利益が侵害されることを防ぐことを目的として、その取扱い上のルールを定めるものであり、個人の権利利益保護を前提とした情報の有効活用を目指すものです。
ですから、個人情報保護法に定められたルールを理解し、それに則って個人情報を取扱うことは、個人情報の不適切な取扱から生じるリスクを回避し、有用な情報を適切な方法で最大限活用することを可能にし、結局はあらゆる企業にとって自社の企業価値を向上させることに繋がるものなのです。
個人情報保護法に則った個人情報の扱いは企業価値を高める!
フランテック法律事務所
弁護士 金井高志
認定プライバシーコンサルタント 毎熊典子